元しくじりエースが語る「チェックポイントを持つ」事の重要性
2月に入りキャンプも始まりいよいよ球春が到来しました。
キャンプではそれぞれ課題を持って練習に励んでいると思いますが、練習や努力をする際にとても大切な事が書かれた記事がありました。
短すぎた絶頂期。「しくじりエース」小松聖が若手に伝えたいことhttps://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2016/12/12/___split_145/
これは去年の12月の記事なので随分前のものです。また小松聖というオリックスの投手の話なので、カープファンとしては興味を持ちづらいかもしれません。
でもこの記事には、次期エース候補筆頭だった選手がひとつの過ちをきっかけににっちもさっちも行かなくなり、結果的に引退してしまった原因が書かれています。
と書くと恐ろしいもののように思うかもしれないですが、実際読んで損は全くありません。
むしろ大事な事が山盛りになっているので、ぜひ読んでもらいたい記事です。
WBCの影響で不調に陥ったと言われていた小松聖
小松と言えばプロ入り2年目に才能が開花し大ブレークし、3年目の春のWBCメンバーに選出されました。
ちなみにWBCは使うボールも違うし調整も他の選手より早くなります。その結果シーズン入りして不調に陥ることがある、と言われる事もあります。
小松もWBCに合わせて調整をした3年目に不調に陥りました。
ただ小松はその時から「WBCと不調は関係ない」とずっと言っていたそうです。
そして引退した今でも「WBCの影響は本当になかったと思います。オープン戦も感じよく投げられましたし。」と言っています。
今年もWBCがあり、カープからは田中、菊池、誠也の3人が選出され、野村も大谷の代役として選出される可能性があるそうで、WBCと不調の影響については他人事ではありません。
ただ小松投手はずっと一貫して「WBCは関係ない」と言っていますし、実際小松投手の場合はそうだったのだと思います。
小松聖が語る不調の原因は「メカニック的にハマらなかった」こと
上の記事で小松聖が語っている不調の原因を少し引用します。
「(3年目の)開幕戦もそこまで悪くはなかったんです。ただ、出鼻をくじかれた格好になって、そこからコンディションが整わなかった。技術面も、メカニック的に、はまることなく投げてしまったというか……。フォームの形ができていないのに投げるから、全然いいボールがいかない。それでいい球を投げようとして力むから、上体が暴れて余計にいかなくなる。ピッチャーの悪循環の典型ですね」
「フォームの形ができていないのに投げるから全然いいボールが行かない。」
「それでいい球を投げようとして力むから上体が暴れて余計にいかなくなる。」
小松投手の過ちはもうこれに尽きると思いますが、カープの選手でも思い当たる投手がちらほらいて気になってしまいます。
ではその前年に好調だった要因は何なのでしょうか。
15勝を挙げた年はメカニック的にハマった感じがあった
15勝を挙げた年について、小松投手は以下のように語っています。
「(15勝を挙げた)2年目はメカニック的に、はまった感じがありました。ただ、フォームのなかでチェックポイントをしっかり持てていなかったんです。『ここがこうなっているからいいボールがいく』『これができていないから悪い』というポイントがなかった。そういうことも含め、コンディションが悪かった。2年目の時点でポイントを見つけられなかったことが、あとにつながったのはあると思います」
これも完全に同意しかありません。
メカニック的にハマった感じがあれば良い結果が出る。
そして「ここがこうなっているからいいボールが行く」
「これができていないから悪い」というポイントを見つけることが大事。
まさに小松投手の言う通りです。
小松が苦境の中で学び、コーチとして若手に伝えたい事
そんな小松は2015年に一軍登録された際に、両親を球場に呼んだそうです。
「これで打たれたら最後になるかもしれんから。」と言って両親を招待した試合で、小松は2イニングを無失点に抑え、さらにそこから9試合に渡り打者31人をノーヒットに抑えたそうです。
その時期のピッチングについて小松は以下のように語っています。
「甘い球もありましたけど、たまたまヒットにならなかっただけ。何かが変わったというわけではなかったんです。ただ、覚悟を持った人間は意外にやっちゃうな、というのはわかりました(笑)」
これもまさにその通りで、覚悟を決めた人間の球には魔力が宿ります。
「メカニック的に」とか散々言っておいてアレですが、これは事実です。
技術という土台があって、実力が本当に拮抗している時に、その勝敗を分けるのはやはり「覚悟を決めたかどうか」なんだと思っています。
そして小松は現役を退き、今年からオリックスの二軍投手コーチに就任します。
そんな小松投手コーチは
「楽しみな若手がいっぱいいますよ。この秋にしっかりやったことを忘れないようにオフを過ごすことが大事。12月と1月は僕らも接触できませんし。選手には『しっかりチェックポイントを見つけたオフに入るように』と言いました。僕みたいにならないように、ですね」
と語っています。
良い時には良い時特有の身体にバシッとハマった感覚があるし、あとはそのチェックポイントを自分なりに持っておく事。
それは本当に大事な事だと思います。
カープで言えば横山弘樹や藤井皓哉
2016年優勝したカープですが二軍の投手は非常に駒不足でした。
その件については、
カープ2016年ドラフトの方向性について考えるhttp://i-think-about-hiroshima-carp.red/carp-draft-2016/
でも書きましたが、2016年のカープは12球団の中でもっとも所属している投手数が少ないチームでした。
その結果、本来フォーム固めをしないといけない横山弘樹が先発ローテを担い、メカニック的におそらく迷宮入りしていた藤井皓哉もなんだかんだ17試合35イニングを投げました。
また身体作りをしないといけなかったであろう高卒ルーキーの高橋樹也も9試合38イニングを投げました。
飯田もこれという形を見つけられないまま悩みながら投げていたような感じがします。
このあたりの投手はおそらくですが、小松投手が言うように「メカニック的に自分の中でバシッとハマる感じがなかった」1年だったろうなと思います。
塹江のようにクレバーで、投げながらチェックポイントを見つけられる投手もいますが、悩みながら投げて修正しきれないまま一年が過ぎてしまう投手もいます。
2016年のカープの二軍は投手不足に泣いたので、そういった投手が試合で投げてしまったことはある意味しょうがない事です。
ただ今年はなるべく多くの投手がメカニック的にハマった状態を、自分の身体で理解しメカニック的にハマる技術を体得して欲しいです。
そのために常に自分の身体と会話をして、身体のチェックポイントを見つけて欲しいと思っています。