カープ・ヒースの2015年を振り返る。ヒースは絶対に放出してはいけない投手
2015/11/29
オフシーズンなので今年観ていて個人的に気になった選手をピックアップして来季に向けてあれこれ言おうと思います。
現状はヒースの来季の契約は流動的とのことですが、個人的にはぜひとも残して欲しい投手です。
というかヒースを他球団に渡すとおそらくカープはヒースから点取れないんじゃないかと思っています。
2015年ヒースの成績
まず今年のヒースの成績を振り返ると
試合数 43
3勝6敗4セーブ
イニング数 49と2/3
防御率 2.36
奪三振率 10.69
FIP 2.62
WHIP 1.25
被打率 .238
被BABIP .333
こんな感じです。
ちなみに40試合以上登板したセリーグの投手の中で奪三振率はヒースがトップです。あの又吉や山崎康を凌ぐ奪三振率です。もちろんマシソンやオンドルセク、バーネット、オスンファン、澤村と比べてもヒースの方が奪三振率は上です。
四球率は3.44なのでリリーフとしては少し高めですがそこまで気になる程の数字ではありません。
またBABIPが異常に高い割に被打率は.238と低く抑えられているのも特徴です。とにかく今年のヒースは不運な当たりがヒットになるケースが多かった印象ですが、それもBABIPを見ると頷けます。
リリーフ投手としての特徴はとにかく奪三振率が高いこと、四球率はそこそこ、ヒットは比較的打たれにくいといった感じです。
ヒースはビハインド時でないとダメ?
ちなみにヒースはビハインド時は良いピッチングをするけどリード時は脆いという意見をちょくちょく聞きます。
これは数字だけ見ると確かにその通りです。細かな数字を計算するのは面倒なのでパッと調べられる数字だけ見ると
リード時
53打数13安打
被打率 .245
失点4
同点時
54打数17安打
被打率 .315
失点4
ビハインド時
74打数13安打
被打率 .176
失点2
とこんな感じです。たしかに同点リード時と比べ、ビハインド時の成績が圧倒的に優れています。
ただこれをもとに「ヒースはメンタル面が問題でビハインド時でないと良いピッチングができない」と言う風潮に関しては正直微妙だよなと思ってしまいます。
ヒースの月間成績
ヒースと言えば、開幕当初はクローザーだったものの5/1に登録抹消となり1ヶ月ほど2軍で調整を重ねてきました。
そして6/4に再度1軍登録されてからはシーズン最後まで投げ抜きました。
シーズン序盤のヒース
という訳でまず「開幕から登録抹消されるまで」の成績を見ると
試合数 11
イニング数 11 1/3
防御率 1.59
奪三振率 9.53
与四球 5
WHIP 2.12
とこんな感じです。
防御率は1.59なので良さそうですがWHIPが2.12と壊滅的な数字となっています。
二軍調整後(6~8月)のヒース
そして1ヶ月の調整を経て「6月に復帰してから8月まで」の成績を見ると
試合数 23
イニング数 30
防御率 1.80
奪三振率 11.70
与四球 7
WHIP 0.80
となっています。
防御率こそ1.80と標準ですが、その他は完全に無双状態と言って良い数字が並びます。
シーズン終盤のヒース
そしてシーズン終盤の「9,10月」の成績は
試合数 8
イニング数 8 1/3
防御率 5.40
奪三振率 8.64
与四球 7
WHIP 1.68
となっています。
この時期は本当にダメダメなピッチングでした。まずストライクを取るのに四苦八苦していた印象です。
そんな訳でヒースの1年間をまとめると
【開幕当初】防御率は良いもののランナーを出しまくりながらなんとか無失点に抑えていた。
【5月】二軍で佐々岡コーチとフォーム修正
【6~8月】ビハインド・リード・同点など状況は関係なく超無双のピッチングを披露。
【9,10月】調子を落とした。
といった感じです。
個人的に一番残念だったのは、6~8月の無双時期にビハインドで登板するケースが多かったことです。
この時期は無双時期なだけに勝ち試合でも普通に抑えていた訳ですが、なぜか首脳陣からの信頼がうすくビハインドで投げるケースが多かったです。
ここでの起用法の偏りが結局、「リード時は不安定、ビハインドなら無双」というシーズン通しての数字の印象に繋がった感じがします。
ヒースの投球フォーム
ピッチングはほとんど物理現象なのでピッチングフォームを観ればその選手の調子の良し悪しは大体見分けることができます。
ヒースの場合は不調時のフォームに特徴があるのでとくに分かりやすいです。
不調時のヒースは、左足を上げた時にお腹が前に出っ張って背中側に重心がかかっています。
こうなると重心バランスが悪いので上半身がグラつきますし、回転軸がブレるのでリリースポイントが安定しません。
そうなると当然ですがコントロールは無茶苦茶になります。良い球も悪い球もすべては運次第といったピッチングです。
逆に好調時のヒースは、左足を上げた時にお腹が出ずほんの少し前かがみの状態になっています。
基本的に投手が前かがみになるのは良くないですが、ヒースの場合は重心が背中側にかかるとバランスが悪くなるので、どちらかと言えばちょっと気持ち前かがみになるくらいで丁度良い感じです。
ヒースの月間成績はほとんどフォームの問題
今年のヒースは
シーズン序盤は成績も悪かった訳ですが、その時期はお腹が前に出る悪いフォームの試合が多く、
二軍で佐々岡コーチとフォームの修正をして以降は良いフォームで無双状態、
ただ時間が経つにつれ悪いフォームになっていき、9月以降はフォームが崩れ成績も悪化、という一年でした。
結局ヒースはフォームの問題だけです。フォームが良い時は無双できるだけの実力はあります。
逆に言えば、フォームが崩れれば微調整をしてあげるという管理体制が整っていれば年間通して活躍できた可能性は高いと思っています。
実際、2軍で佐々岡コーチが指導してからはフォームが良い時期が続き無双できていました。
ただそれが一軍で継続できなかったのは残念です。
来季のヒースはどこで投げる
結局ヒースはフォームを安定させてあげさえすれば普通に活躍できる投手です。
あれだけのストレートの破壊力を持つ投手はほとんどいません。ストレートの空振り率が11.18%とか凄すぎます。
参考までにカープの投手のストレート空振り率は、大瀬良8.46%、一岡7.97%、中崎6.21%、マエケン7.59%、ザガースキー9.09%、福井4.24%、薮田4.62%といった感じです。
これだけでもヒースのストレートの空振り率11.18%の凄さが分かると思います。さらにヒースの武器スライダーの空振り率は10.13%、カーブの空振り率は13.85%です。主な持ち球すべてで空振りを奪えるというのがヒースの特徴です。
あとは起用法の問題だけです。
せっかくの好調時に「防御率1点台の敗戦処理」みないな謎の起用法をされていたのはヒースにとってもチームにとっても勿体なかったです。
いまのところ来季の契約が流動的とのことですが、普通に考えてヒースは良い投手だし必要な戦力です。
普通レベルのまともな投手コーチのいるチームで、日々フォームが崩れたら修正してヒースのことを信頼して起用できるチームならかなりの好成績を収められると思います。
カープがヒースを放出し他球団に拾われたら大ピンチ
万が一カープがヒースを切りまともな投手コーチのいるチームに拾われた場合、カープ打線は手も足も出ない可能性が高いです。セリーグに行ったら脅威以外の何物でもありません。
それくらい球の力はあります。
なんといっても今年40試合以上登板した投手の中で奪三振率はトップです。
しかもカープが苦手とする150キロ級のストレートを持ち独特のカーブもあります。
さらに四球率も悪くない、BABIPの割に被打率も低い。リリーフも先発もこなせる。性格も良い。素晴らしいとしか言いようがありません。
個人的には来季もカープで良いピッチングを見せてほしいと思っています。