岡田明丈の成長と苦戦する横山弘樹。横山がブレイクするカギは阪神・岩貞投手。
最近はなかなか忙しく試合を見ても感想などをブログに残す時間がないですが、一応試合はちょくちょく見ています。
対ベイスターズ戦の感想など
先週末は好調のベイスターズと対戦し、1勝2敗で3連戦を終えました。
初戦は黒田が先発でしたが、ベイスターズ打線にファウルで粘られる場面が目立ちました。
ベイスターズは徹底したデータ野球
近年のベイスターズは親会社が代わり、徹底したデータ野球を行っていますが、監督がラミレスになりデータ野球に拍車がかかりました。
黒田に対してあれだけ粘りに粘ってファウルを連発していたのも、ベイスターズが取り組むデータ野球のおかげです。
黒田はメジャー式のピッチングで、ストライクゾーン内でボールを動かしゴロを打たせるのが持ち味です。
緩急はあまり使わず、ストレートと球速差のあまりないツーシームやカットボールをよく使います。
緩急はほぼないというのはベイスターズもデータとして分かっているので、黒田と対戦するベイスターズの打者は皆135~145キロ前後の球を想定してタイミングを取ってスイングしてきていました。
タイミングの取り方に全く迷いがなかったです。完全に140キロ前後を想定したタイミングの取り方でした。
いくらゾーン内でボールを動かすと言っても、あれだけタイミングを合わせてスイングされるとさすがに厳しいです。
しかも黒田自身右足首がずっと思わしくなく、踏み込みの際に右足の甲を地面にうまく接地させられず、そうなると球はどうしても上ずります。
タイミングを合わされても低めにさえ投げていれば空振りも取れますが、タイミングを合わされ球も高く来ればさすがに空振りは取れません。
ただそんな状態でも6回を2失点にまとめるのはさすが黒田というか、もう役者が違うとしか言えません。
まさに粘りのピッチングでした。
岡田は佐々岡コーチ直伝のカーブが有効だった
黒田の135~145キロの球に完全にタイミングを合わせて迷いなくスイングするベイスターズを見て、ベイスターズ打線には緩急を使わないと厳しいなと思わされました。
そして2戦目の先発は岡田でしたが、岡田は佐々岡コーチ直伝のカーブで上手く緩急を使い、ベイスターズ打線に的を絞らせませんでした。
筒香にはツーランを打たれましたが、筒香は後ろ側に体重を残してうまく間を作れるバッターなのでもう筒香に打たれるのはしょうがないです。
今の筒香はそれくらいのレベルの打者です。
ただ筒香以外のベイスターズの打者については、岡田の緩急にだいぶ苦労していました。
黒田もたしか4回だったと思いますが戸柱に投げたカーブがかなり有効で、あの球をもっと多く有効に使っていけばもっと楽なピッチングになったのかなと思います。
次にカープがベイスターズと対戦する際には、緩急を使ってタイミングを合わせないようなピッチングがおそらくカギになります。
岡田ももうちょっとカーブを投げる時に腕を思い切り振って欲しかったですが、ヤクルト戦でまったくピッチングができなかった時と比べればかなり良くなっていました。
ファームで課題を持って野球に取り組んだのが見てて分かりましたし、本当に岡田のストレートは質が良くこれからも武器になります。
苦しむドラフト2位、横山弘樹
着々と成長するドラ1の岡田と比べると、二軍落ちしてからも結果が出ていないのがドラ2の横山です。
今のところ(5/30)ファームで4試合に登板し、24回、31被安打、2被本塁打、4与四球、17奪三振という結果です。
もともと個人的には横山は相当苦労するだろうし、即戦力と言うより1年間ファームでフォーム作りからやった方が良いと思っていました。
今でもその気持ちに変わりはなく、今年1年棒に振ってでも来年以降戦力になるよう土台のフォームを作り直して欲しいと思っています。
イメージ的には左右の違いはあれど阪神の岩貞投手のような感じです。
岩貞は2014、2015年と鳴かず飛ばずでしたが、3年目の2016年は今のところ一軍で9試合に登板し防御率は0.88です。
さらに61イニングを投げ奪三振は70と先発投手とは思えない奪三振率を誇っています。
阪神・岩貞ブレイクはフォーム改造のおかげ
大躍進を遂げた岩貞ですが、好調の要因はフォーム改造の成功です。
岩貞のフォーム改造について詳しく書かれた記事がこちらです。
阪神・岩貞の安定感を作った新フォーム「良い意味の勘違い」が余裕を生む
実際は本文を読んでもらいたいのですが、要約すると以下の通りです。
・技術的に進歩したからメンタル面でも安定して投げられるようになった。
・具体的には体重移動部分のフォーム改造
・去年までは腕が横振りで、体重移動のタイミングが合わないと強い球が行かなかった。
・体重移動のタイミングが合わないとリリースポイントもバラバラになる。
・今年はキャッチャー方向にまっすぐ体重移動をしている。
・キャッチャー方向へ最短距離で移動し、最短距離で腕を振るイメージ。
・その結果リリースポイントも安定し腕も縦振りになった。
こんな感じです。
そしてこのフォームを身に付けるまでに、はじめは相当苦労したようです。
最初はぎこちなくて違和感しかなく、キャッチャーがジャンプしないと取れないようなところにしか投げられなかったそうです。
それでも通常のシャドーピッチングと平均台の上でのシャドーを繰り返していくなど、何度も繰り返し練習をして、新しい技術を自分の身体に染み込ませたそうです。
その結果が今季の大ブレイクです。
今はマウンドから投げる時に打者がブレずに見えるそうです。
今までは岩貞自身の身体がブレるから打者もブレて見えていたけれど、今は目や頭の位置も一定に保てているから必然的にコントロールも良くなったそうです。
そして縦振りのフォームが身についたからこそ、少し横振りになったいると思えば自分で修正できるようになったそうです。
詳しくは上記の記事を読んでください。
去年までの岩貞と今の横山が重なって見える
今年大ブレイクを果たした岩貞ですが、個人的に去年までの岩貞と今年の横山がダブって見えます。
・キャッチャーに対してまっすぐ体重移動ができない。
・腕が横振りになる。
・体重移動のタイミングが合わないと良い球が行かない。
・リリースポイントがバラバラ。
・投げるときに目線の位置や頭の位置がブレまくる。
以上が去年までの岩貞でしたが、これらの欠点は今の横山が抱える欠点ともろに被ります。
ちなみに岩貞自身は「フォーム改造は体重移動の部分なので皆様が見てもまったく変わってないように映ると思います。」と言っていますが、実際に映像を見るとその違いは一目瞭然です。
2015年の岩貞
2016年の岩貞
とくに注目なのが2016年の方の5分15秒あたりからの12奪三振を集めたシーンです。
本当にフォームが安定してリリースポイントも一定に保てています。
岩貞がこれだけの大躍進を実現した訳ですから、横山にだって今年1年使ってフォームを作り直せば来季は岩貞並みの大躍進も期待できるはずです。
フォーム改造は今までの自分を捨てる事です。
投げ始めはバランスが分からず皆苦労します。
岩貞も例外ではなく、はじめはキャッチャーがジャンプしないと取れないような所にしか投げられなかったそうですし。
ですがピッチングは物理現象ですし、良いフォームが身につけば結果は必ずついてきます。
メンタル面が課題と言われる投手でも、絶対的な技術を身に付ければ自信を持てないはずがないです。
だからこそ、今一軍で通用しない選手は怖がらずに物理的にスムーズで効率よく力を出せる技術を身に付けてほしいと思っています。
とくに横山はまだ未完成の投手ですが、考えて野球ができる投手です。
安定して投げられるフォームさえ身につけばあとは本当にトントン拍子で行けるはずですし岩貞に負けないくらいの大ブレイクも実現可能だと思っています。