カープについて俺はそう考える

カープについてカープファンの管理人が考えたことをあれこれ書くブログです。

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本部長が緒方監督に言った「1点差負けはベンチの責任、右打ち等はベンチの指示で。」の真意は何?

   

年末年始の記事で松田オーナー、鈴木球団本部長、緒方監督と安仁屋さんの対談など、興味深い記事が色々と出ていました。

来季のカープは右打ちがキーワード?

その中で特にセンセーショナルだったのが、
「緒方監督にも話をしたが、1点差負けはベンチの責任。」
「投手攻略を打者任せにしてはいけなかった。」
「待球、右打ちなどはベンチの指示でやりたい。」

という鈴木本部長のコメントです。

また松田オーナーも
「右方向に打つとか、進塁打を決めるなど。今年に関して言えば、そういうチームバッティングが、ほとんど出ていなかった。」

とコメントしていて、上層部の中で「右打ち」というのがある種のキーワードになっているような印象を受けます。

ファンの中にある右打ちアレルギー

個人的に右打ちは野球をする上で絶対必要なものだと思っていますが、ファンの中には右打ちアレルギーの人も多少います。

右打ちアレルギーの人の代表的な意見には以下のようなものがあります。
「右打ちなんてやらせると選手の長所が死ぬ。」
「カープはフリースインガーが多いから右打ちはムリ。」
「巨人は右打ちやチームバッティングを徹底しすぎて打線が小粒になった。」
「右打ちなんて高校生でもやってる。それを今になって言う時点でお察し。」

もちろんこれらも一理あって、何でもかんでも右打ちだ!と指導するとバッティングは崩れますし小さくなります。

とは言え右打ちが不要かと言えばそうではなく、シーズンで優勝するには右打ち、というか逆方向へのバッティングは必要なものになってきます。

引っ張りはバッターの本能

一般的に打者として最も気持ちいいのは、ポイントを前目(投手寄り)にして思い切り引っ叩くようなバッティングです。

これは野球をやった事のある方ならみなさん経験はあると思います。もうこれはバッターの本能と言えます。

プロの選手も野球選手である以上、引っ張りの気持ち良さは当然分かっています。

だから「逆方向に打った方が確率が高い」と頭で理解はしていても、つい引っ張りにかかってしまいます。

これは例えば百戦錬磨の新井さんでもそうです。

新井さんですらハマる引っ張りの誘惑

2015年の新井さんを見ていると、好調時は右中間あたりをイメージした見事なバッティングが目立っていましたが、不調になると急に引っ張りにかかります。

というか引っ張りにかかるから打てなくなる、とも言えます。

そして試合後に「強引に行き過ぎた」と反省のコメントを出します。

カープ・阪神・日本代表で四番を打つような大打者の新井さんですらこうなる訳です。であれば菊池や會澤あたりは言うまでもありません。

菊池や會澤もハマった引っ張りの誘惑

たとえば2015年の菊地が右のスライダーピッチャーに対して無謀に引っ張りにかかり、結果的にアウトになる場面はかなりの頻度で見ました。

右のスライダーピッチャーが右打者と対戦する場合、基本的には外角のストレートか逃げるスライダーで打ち取ろうとしてきます。

であれば引っ張りにいかずセカンドの頭を越す、右中間に打つイメージで臨んだ方が当然結果は良くなります。

これは2015年の會澤にしても同じです。ポイントを無茶苦茶前にしてブンブンバットを振りまわし、タイミングを外され無様なスイングをする場面はかなり見ました。

2014年みたいに右中間方向を意識したバッティングをしていれば率は自然と上がるし、パワーもあるから結果的にホームランになることも増えるはずです。

にも関わらず、引っ張りの気持ち良さに溺れて確率の低いバッティングをしてしまう訳です。

ただこれはある意味バッターの本能なので仕方がない面もあります。

引っ張り打法はなぜ確率が悪いのか

ポイントを前(投手寄り)にすると、良いタイミングでミートできれば強烈な打球が飛びます。

ただタイミングを外された時には、自分が想定している「前寄りのミートポイント」に向けてバットを振り勢いがついてしまっているので、バットを止められずに空振りしてしまいます。

また、速い球に対して振り遅れると、自分が想定しているミートポイントよりもかなり後ろ(キャッチャー寄り)でバットとボールがコンタクトします。

バッターは自分の想定しているミートポイントで自分の力を最大限ボールにぶつけようとするものです。

ということは、振り遅れてしまうと、自分の力をボールに最大限ぶつける前にボールとバットがコンタクトしてしまい、逆方向に力のない打球が飛ぶことになります。

まとめると、
・ポイントを前(投手寄り)にするメリットは、あたれば強烈な打球が飛ぶ。
・デメリットは、緩い球にバットが止まらず空振りが増える。逆に振り遅れると力ないポッププライが多くなる。
といった感じになります。

引き付けて打つメリットとデメリット

逆にポイントを後ろ(キャッチャー寄り)にして待っておくと、まずはボールを長時間見れるようになります。

また例えば逃げる変化球に対して、ポイントが捕手寄りなら出し掛けたバットを止めたり引いたりできるので空振りは減ります。

さらに緩い球でタイミングを外されても、想定しているミートポイントが身体に近ければ、振りだしたバットを止めたり引いたりできます。

仮にバットを止められなくても、二枚腰やツイスト打法で対応できます。

また速い球に振り遅れても、もともと想定しているポイントが捕手寄りな分、ある程度力をボールにぶつけつつあるスイングができます。

だから右方向にも強い打球が飛びます。

ちなみにこれを極めていくと、いわゆる「逆方向に引っ張る」バッティングになります。

ただその反面、ポイントを後ろにすると速い球に振り遅れやすくなるというデメリットもあります。

ちなみにそのデメリットを消す為には、始動を早くして常にトップを作った状態で、いつでもスイング動作に入れるようにしておくことが大事になります。

それを組み合わせると、
「ポイントは捕手寄り、軸足に体重を乗せて常にグリップは引きトップを作った状態で、いつでもスイング動作に入れる」ようなバッティングが最も効率が良い訳です。

左バッターの場合は右打ちは効果的か

またランナー1塁で左バッターが打席に立つとします。

その時、一二塁間は広くなっているので左バッターは引っ張るとヒットゾーンは広くはなります。

ただそれはバッテリーも当然分かっているので、外角の球や逃げる球を中心に投げてきます。

相手バッテリーが外角・逃げる球中心で攻めてくると分かっているなら、左バッターはショートの頭の上を越すイメージで打つ方が確率は高くなります。

このバッティングでヒットを量産したのが、2015年首位打者を獲得したヤクルトの川端です。

2015年のヤクルトは1番バッターが出塁し、川端はムリに引っ張らずショートの頭の上を越すようなバッティング。

そしてランナー1,2塁、あわよくば1,3塁で最強打者の3番山田哲人に回ります。山田を歩かせても次は打点王の畠山。だから山田と勝負せざるを得ない。

2015年のヤクルトは、こういう形を作ることを想定して打線を組んでいました。これは2,3,4番に強打者を集める打順のメリットです。

バッティングの基本は逆方向

右打者も左打者も、バッティングの基本は逆方向のバッティングです。

ただバッターの本能として、逆方向ではなくつい引っ張りたくなってしまいがちです。

それは新井さんにしてもそうですし、新井さんより若い菊池や會澤は言わずもがなです。

だからこそ、そこはベンチがしっかり選手と協調協力し、逆方向に打つよう指示を出す必要がある訳です。

2015年のカープにはその辺りの指示出しが足りなかった、というのがオーナーや本部長の意見なのかなと思っています。

だから別にランナーがいたら全部右方向に打て、とかそういった采配をベンチに求めている訳ではないと思います。

要は状況判断をしっかりするということかと思います。

相手投手の持ち球や配球傾向をしっかりと把握し、打者の特性と照らし合わせ、状況に応じたバッティングや狙い球をベンチが的確に指示だししていこうということです。

イケイケドンドンの野球では勝てない

野村前監督は色々と狙い球を絞る場面もたまにありましたが、基本的には「強い打球を飛ばす」ような指導で、イケイケドンドンの勢い野球が主でした。

外国人はブンブン振り回すだけで、ホームランとかいう全打席のうち数パーセントの確率でしか起こらない現象を期待するしかありません。

日本人打者も状況に応じたバッティングではなく、たとえばノーアウトランナー2塁なら、続く3人の打者の誰かがタイムリーを打ってくれることを期待する、という戦い方です。

ちなみに「ランナー2塁は得点圏」と言われていますが、実際のところランナー2塁からシングルヒットで得点になるケースはそう多くないです。

とくに足の速くないランナーだと1,3塁になって次打者でアウト、というケースはよく見ます。

正確なデータは分からないですが、感覚的にはランナー2塁でシングルヒットの場合、得点になるのは55~60%程度じゃないかと思います。

つまり全打席の25%程度しか起こらないヒットが打てたとしても、単打であればそのうち4割程度は得点にならずランナーがたまるだけ、ということです。

だからこそ絶対に得点したい場面では、ランナー2塁なら最悪でも右中間、セカンドの頭の上をイメージして、悪くてもランナーを3塁にまでは進めるバッティングが重要になる訳です。

まぁこれは2016年からキャッチャーのブロックが禁止されるのでまた確率は変わってきます。

ブロックなしであれば、ランナー2塁から単打で得点になるケースは増えると思います。

また同時に、ランナー3塁からゴロゴーでも得点になる確率は格段に上がります。なので1アウト3塁の形を作ることの価値もさらに上がりそうです。

このあたりは1年通してデータを取り、より得点確率の高い戦い方に活かして欲しいと思っています。

とにかく、外国人のホームラン頼み・得点圏にランナーを置いてタイムリー期待、という2015年までのカープ野球では接戦に弱くて当然です。

接戦で強くなるには、このイニングは絶対得点したい、という場面で確実に点を取る。その確率を上げることが必要です。

接戦に強くなるには選手と首脳陣の連係が大事

緒方監督がやっているカープ野球は、前野村監督がやっていたイケイケドンドン野球の延長線上にあります。

これは別に野村監督が悪いという訳ではないです。

野村監督チーム作りをする時には菊池も丸も若かったです。当時中堅と言われる野手の層は完全に空洞化していました。

だから若い選手が多かったあの時代は、細かい野球よりは勢いに任せた野球の方が能力を発揮しやすい面はありました。

ただ菊丸も田中広輔も會澤ももう20代後半です。松山や小窪はもう30歳。

そろそろ中心選手たちがしっかりと状況に応じた頭の良い野球をしていかないといけない時期にきています。

右打ちが必要な場面では右打ちをする、強引に引っ張るバッティングをしない、相手バッテリーの配球をイメージし、状況に応じたバッティングをする。

そして状況に応じたバッティングをするには、緒方監督をはじめとして石井琢朗コーチや新任の東出コーチが選手に適格に指示を出すことが必要です。

その辺りが本部長の言っている「相手徒手の攻略を打者任せにしない。1点差負けはベンチの責任でもある。」という言葉の意味だと個人的には解釈しています。

 - 戦略, 緒方孝市