カープが機動力野球を標榜するなら二遊間コンビにもっと粘りが欲しい
2015/07/31
今日は後味の悪い逆転負けで連勝が止まりました。戸田も中崎も若いし消去法で今の地位を与えられているだけですし、雨も降っていたのでまぁしょうがないというかこうなるべくしてこうなった感じでした。
中崎が今のままならこういう試合はこれからも相当数出てくるし個人的にはヒース復調を待つのみです。ちなみに先発陣の誰かを抑えに配置転換させるのは反対です。
という訳で負けは置いておき、今日は日ハムの戦い方で印象に残った点をメモ代わりに残しておきます。
2番中島が粘りフルカウントを作る
初回の得点シーンを見てみます。
まず1番西川が出て2番中島は簡単に送りバントはしません。まぁ粘ります。本当に粘ります。結果的にきちんとフルカウントを作ります。
1塁に俊足のランナーがいてフルカウントを作れる訳ですからそこからは足を絡めた攻撃をしてきます。
中島が甘いスライダーをレフト前に運び、ランナー西川はスタートを切っているのでレフト前ヒットでも3塁まで到着できます。
これだけで1,3塁を作ってしまいました。結局機動力野球ってこういうことなんだな、というのをまざまざと見せつけられたような気がします。
ただ足が速いだけでは機動力ではないし、盗塁にはバッターの協力も必要です。バッターが1,2球でアウトになればいくら俊足のランナーでも盗塁を決めるのは至難の業です。
逆にバッターが4,5球でも投げさせればランナーは4,5球のうちのどこかで盗塁をすれば良いので可能性は格段に広がります。
ちなみに6回にも西川が出塁した際に中島は粘りに粘ってマエケンに12球投げさせました。この打席でもきちんとフルカウントを作り、ランナーがスタートを切りやすい状況を作っています。
結果的に6回はショートライナーでゲッツーになりましたが、野球の質としてはかなり高い質の野球をしています。
カープの1,2番は足は速いけど機動力は物足りない
ちなみにカープの1,2番と言えば田中菊池の1,2番です。ふたりとも頑張ってくれているし良い打者ですが機動力を活かすという意味ではちょっとタイプ的に難しいバッターです。
ふたりとも初球からガンガン打っていくタイプでランナーが走りやすいようカウントを整えたりフルカウントを作るような器用なことは今のところ得意ではないです。
まぁこのあたりは隣の芝生は青く見える現象というか、中島というバッターがあまりにも羨ましかったのでバイアスはだいぶかかっています。
とは言ってもやっぱりカープの1,2番にももう少し質の高いバッティングをして欲しいようには思えます。とくにこのふたりは二遊間というポジションなので、他の選手よりは機動力や小技に対し意識が高くあって欲しいです。
P/PAで見る日ハム野球
ちなみに野球にはP/PAという地味なセイバー系の指標があります。
この指標は1打席あたり何球投手に投げさせたのか、その平均を求めた指標です。
計算は簡単で、その打者が投じられた全ての投球数を打席数で割ります。一般的に4球を越えればまぁそれなりに優秀とされる指標です。
という訳で今季の中島のP/PAを見ると1打席あたり4.33球投げさせています。この水準はかなり優秀です。しかも中島は犠打も8つ決めていながらこの数値ですからかなり粘っこいバッターです。
ちなみに1番打者の西川は4.20。この数値もかなり優秀な数値です。さらに2番打者中島の盗塁を助ける3番打者の田中賢介は4.15球です。
P/PAが4を優に超える選手たちが1~3番を担っているのでそりゃ盗塁数もパリーグ最多になります。他にも今日マエケンからホームランを放った谷口のP/PAは4.35と、チームとして粘り系バッターがかなり多いです。
カープのP/PA
という訳でカープのP/PAを大体結果は分かりつつも怖い物見たさで調べてみました。
打席が多い順に見ていくと、
菊池が3.29
丸が4.26
田中が3.66
新井が4.15
梵が3.78
會澤が3.63
ロサリオが3.31
野間が3.53
松山が3.73
といった感じです。
単純に球数を放らせれば良いとかそういうことではないし、早いカウントの甘い球を見逃して球数を放らせても結局後々厳しい勝負になるだけなので臨機応変な対応が必要なのは言うまでもありません。
それに思い切りの良いバッターというのも魅力のひとつなので全員が粘り系バッターになれば良いというものではないです。
ただカープの場合あまりにも打者のタイプが早打ち系バッターに偏りすぎています。
これだけ早打ち系バッターが多ければ当然俊足のランナーが出ても盗塁を仕掛けられるカウントは作りづらいです。そんな中で機動力野球を目指して盗塁企画数だけ闇雲に上げても盗塁成功率はなかなか上がりません。
二遊間の1,2番コンビの田中と菊池にはもう少し頑張って欲しい
現在のカープは外野の両翼が外国人ですしファーストはランナーを還す人なので、この3人にP/PAといった指標をどうこう言うのは筋違いです。
そうなると機動力野球を標榜するならセンター、セカンド、ショート、サード、キャッチャーの5人の中で3人程度は粘り系バッターになれて欲しいところです。
捕手の會澤は次の打者がピッチャーなので当然もっともっとP/PAは高くてしかるべきだとは思いますが、あとはやっぱり二遊間のふたりにはもう少し頑張って欲しいです。
思い切りの良いバッティングも良いですが、なんでも初球を打てば良いというものでもないです。
早いカウントではストライクゾーンを狭めたり球種を絞り持ち前の振り切るスイングをしてくれて良いです。そんなバッティングも魅力的です。
ただカウントが進むにつれて徐々にストライクゾーンを広げ2ストライク以降はバッティング内容を変化させていくような、そういったバッティングができればこの二遊間が組む1,2番コンビは今以上に恐さのある最強の1,2番コンビになれると思います。