エラー数が目立つが田中広輔のプレーは去年より向上している
2015/11/29
もともと今シーズンが始まる前から今年の野手のキーマンだと個人的に思っていたのが田中広輔です。
去年の後半に梵からショートの座を奪い打撃でも貢献した訳ですから、今年はショートのポジションをさらに確固たるものにして欲しいと思っていました。
そんな田中広輔の2015年を振り返ります。
2014年と2015年の成績比較
まず2014年と2015年の田中の成績を比較してみます。
2014年 2015年
・打席数 333 590
・打率 .292 .274
・本塁打 9 8
・長打率 .434 .413
・出塁率 .348 .325
・盗塁 10 6
・失策 7 22
正直言って表面的な数字を見る限りでは、打席数以外の項目は軒並み下がっています。
とくに失策が7から22へと3倍以上に増えている点と、盗塁数の減少が目立ちます。
盗塁に関しては2014年が成功10で失敗3だったのに対し、今年は成功6で失敗が7となっています。
まぁこれは観ていても、とくに左投手のけん制に釣り出されそのままアウトになるシーンを散々見てきたので納得の数字です。
カープはチーム全体で左投手のけん制に釣り出されてアウトになるシーンが多かったですが、特に田中はそれが多かった印象です。
ここは来季改善して欲しいポイントです。
失策は増えたものの田中広輔の守備は上達している
あとは守備についてですが、失策数が去年の7から今年は22と3倍以上に増えています。
ただこれに関しては、アマチュア時代の堅実系守備からプロ仕様のアウト奪取を目的とした守備への進化の過程なのかなと思っています。
去年の田中の守備に関しては「まず捕球」「そして一塁に投げる」と捕球と送球が連動していなくて、堅実といえば堅実ですが守備範囲は狭かったです。
ただ今年の守備は前に出て捕球する守備を心がけているようで、さらに送球から逆算した捕球体勢などもしっかりと意識した守備をしていました。
前に出る守備や送球のための捕球をすれば当然エラーは増えてしまいますが、これはアマチュア的な守備からプロの守備に進化を遂げるためには避けては通れない道です。
またエラーに関しても、すべての記録をチェックしてる訳ではないのであくまで印象ですが、田中の場合は送球エラーは少なく捕球のエラーが多かったような印象があります。
ショートは送球が不安定だと送球を気にして捕球にもミスが出ることも多く、逆に田中のように送球が安定していればあとは捕球の質を高めていけばその分守備は上達します。
来季は前に出て行く守備、送球から逆算した捕球をしながら、それと同時にひとつひとつの捕球の質を高めていけば更に守備能力は向上すると思います。
田中の守備は足運びもドタドタしていて決して華がある訳ではないですが、その割にアウト奪取力は向上していてイメージとしては花よりも実を取った守備といった感じになりました。
あとは併殺時の動きをもう少し俊敏に無駄なく小さな動きにできれば、併殺も増えてもうワンランク上の選手になれます。
ここは菊池との共同作業なので来年はふたりとも頑張って併殺をガンガン取っていって欲しいです。
バッティングは疲れた時の内容と得点圏打率が課題
バッティングについては空振りは減ったものの、疲れが溜まってきたときの内容が課題として残りました。
去年も後半戦打撃好調でショートのポジションを掴みましたが、シーズン終盤は調子を落としていました。
去年の月間打率でいえば、6月.400、7月.327、8月.319、9月.250となっています。
そして今年の月間打率は、3,4月.292、5月.307、6月.247、7月.316、8月.176、9,10月.300となっています。
8月あたりは如実に疲れが表に出ていて、観ていても打てそうな気配がありませんでした。
特に8月~9月前半にかけて得点圏の場面での内容が悪く、三振と撫でるようなバッティングでのショートゴロが非常に多かったです。
田中のバッティングの良いところは振り切れるバッティングだと個人的には思っています。
だからこそ疲れていても当てにいってフォロースルーも全然ないバッティングはして欲しくないし、しっかりと振り切るバッティングを期待しています。
9月の後半以降は振り切るバッティングも出来てきたので得点圏でも良い当たりのヒットや長打も出るようになってきたので、ああいったバッティングを来季は期待しています。
また田中は野球のことをよく知っているからこそ、チャンスの場面ではとりあえず当てに行くみたいなバッティングが多く、それが得点圏打率の低さ(.237)に繋がっていた印象があります。
田中の野球脳の高さはもうほとんどの人が理解していると思うので、来季はもっとチャンスで「自分が決める」「打点を取る」という意志を持った力強いバッティングを期待しています。
気になるのはボール球アピールでバッターボックスから外れる動き
あと個人的に少し気になっていたのは、相手投手がボール球を投げた時にボール球だというアピールなのかなんなのかアウトステップで打席から出る動きです。
これは丸が去年からものすごいやっていて個人的に気にはなっていました。
もしかすると今年の丸のカカト体重の原因のひとつは、ボール球が来たときにボール球アピールでバッターボックスから外れる動きだったんじゃないかと思います。
あれがクセになると当然バックステップで背中側に体重がかかるので踏み込んで打てなくなります。
丸ほど頻繁じゃないですが、田中も時々ボール球アピールでバッターボックスからバックステップすることがあったので、あれは気を付けてほしいです。
まぁ内角球ならのけぞるのでしょうがないですが、内角球以外であればなにがなんでも絶対にバッターボックスからは外に出ないくらいのつもりでしっかりと投手に対して踏み込んで行って欲しいと思っています。
来季の田中広輔に期待したいこと
という訳で、去年と今年で比べると数字面では落ちましたが、ひとつひとつのプレーの質は高まった2015年でした。
来季の田中には、まず守備面ではアウト奪取力は高いままひとつひとつの捕球時のプレーの質を高めることを期待しています。
これができれば守備は一軍ショートのレギュラーとして標準レベル以上にはなります。
バッティングに関しては、とにかく調子が悪くなると得点圏で三振と撫でるバッティングをしてのショートゴロが異常に多くなります。
これは調子が悪いとバットに当たらないからなんとか当てようとして力ないスイングになる、ということだとは思いますが、なんとか疲れが溜まった時にもしっかり振り切るスイングを期待します。
田中ほどのパワーがあれば、しっかりとスイングすれば単打ではなく外野の間を抜くような二塁打三塁打が打てます。
チャンスの場面でそういう力強いバッティングができるようになれば打点も増えてきます。
来季はチャンスでしっかり振り切るバッティングをして、恐怖の6番バッターとして60~70打点くらい稼いでくれれば良いなと期待しています。
田中広輔は着実にプレーの質を高めていける選手なので70打点か60打点くらいは行ってほしいし行けるはずだと個人的には思っています。